破壊された街。
ほこりだらけの空気の中、呆けた顔で黙々と歩く人々。
終末の絵図を見ていた。
時間がとまっているかに見えた。
なのに太陽はそれまでと同じように昇り、
沈んだら月が瓦礫を照らす。
時間は決して止まらないことを
冷酷にも、自然の営みが人々に教えた。
大きなものを失ったひとにも、
何も失わなかったひとにも、
平等に、淡々と時間が流れた。
生きていくためには 喪失も、悲しみも、不公平も
受け入れなければ前に進めないことを知った。
あれから19年。
世界中で起こっている同じようなこと、
もっと過酷なこと。
いまだ彷徨うひとつひとつの魂に、
せめて安らかに
残った大切な人々の道を照らしてくれるよう
祈るしかない
2014 1/17