西宮北口の北側にある、知る人ぞ知るジャズ喫茶、コーナーポケット。
スピーカーのパラゴンから耳に直接飛び込んでくる音は、演奏者の息遣いまで如実に伝わる驚異的な芸術です。
パラゴンの主、鈴木喜一マスターが5年前に天国に召されたあとも、奥様の優子さんが必死になってその芸術を守り続けてきました。
ライブハウスとしても、その役割は大きく、コーナーポケットから世界に巣立ったビッグミュージシャンも数多いのです。もちろん海外から、また日本各地からも多くのミュージシャンが訪れました。木壁には夥しい数のサインが・・・
それらの持つ「気」が充満しているからなのか、お店は空気の密度が濃いのです。
そんな特別な場所、コーナーポケットは、来る9月3日をもって営業の灯を落とします。
始めるにも勇気は要るけど、ピリオドを打つのはもっと勇気が要ることでしょう。
様々な逡巡を経て、HPに閉店のお知らせをアップするときは、マスターの写真を傍らに置いて、思いきってEnterキーを押したそうです。
マスターの影を支えに5年間がんばり続けた優子さんに、とにかく「おつかれさま」と言いたいです。
私自身、喜一マスターには本当におせわになりました。
辛口のコメントにもいつも愛があふれていました。みんなそんな洗礼を受けました。
高品質の音の追求、そしてジャズの本当の意味での普及に、骨身を削って、削りすぎて、寿命を縮めたのかも知れません。
ベーシストの中島教秀さんは、中学の時にここでセッションデビューし、ボロボロの船出となり、そこからジャズの世界にはまり込んだそうです。
ピアニストの長井美恵子さんも、マスターのほめことばを聞きたくて、懸命に努力したそうです。
私なんか、「まだまだやな~」といわれ続け、おそらく今も天国で苦笑いしていることでしょう。
残り少ない日々の中で、その3人でライブをさせていただくことになりました。
6/16(土)19:30~ p長井美恵子 b中島教秀 vo伊藤アイコ
西宮市甲風園1-12-15 富永ビル2F 0798-64-5402
それぞれの心の中のコーナーポケットへの思いを、音にしたいと思います。
「閉店後は現状復帰で、スケルトンにして返さないといけないの」との優子さんのつぶやき。心が痛いです。
ライブでは、気がいっぱい詰まった空間を、みなで共有したいです。
http://www.cp-paragon.com/