電車の座席一列、全員携帯をみているという、異様な光景によく出くわす。
中にはゲームをやっている人もいるだろうが、ほとんどがメールだろう。
会社の業務だって、電話や面談より、今はメール主導。
便利な世の中になったもんだ。
でも、メールシステムの不具合で、
届くものが届かなかったり、
遅れたり、間違ったり、
でも確認のしようがなかったり・・・
目に見えないもの、耳に聞こえないものは、ある意味、とても不安だ。
卒業後、2年ほど大手商社に勤めていた。
まだパソコンもない時代。
コンピュータといえば、でっかいスーパーコンピュータが特定のフロアを占領していた。
ワープロさえ普及していない。
通信手段は、手書きの紙。
そう、それ普通だった。
どんなに昔のことか、と思うだろうが、つい最近の話だ。
(それほど進歩が急速だったということ!いや本当に・・・)
オフィスには、エアシューターというものがあった。
細長い空洞が全フロアを縦に貫通していて、
違うフロアの部署への連絡は、
なにやら筒型の容器に、お手紙を入れて蓋をし
その空洞の中にセットして、フロア番号を押す。
そうしたら、その筒が、真空の原理でビューーーっと上昇
あるいは下降する。
受けとるフロアにその容器が到着すると
「ドドスコドン!」という大きな音がする。
もちろん業務連絡の面白くもない内容だが
蓋をあけて、中のお手紙を取り出すときに
なんだかちょっとワクワクしたりした。
シューターの近くの席は、うるさかった。
でも、目に見えない、音の聞こえないメールより
メッセージが届いた!という確かな実感がある。
あの音、なんか恋しい。
ドドスコドン!