ベッドの上で、激しく上下にバウンドした。
家具も、なにもかもが上下にジャンプし、意思をもっているかのように移動した、
あるいは倒れた。
食器という食器は、宙に舞ってから床に叩きつけられ、粉々になった。
おどろおどろしい地鳴りのなか、究極の恐怖を味わった。
死ぬかと思った、と人はよく言うが、ほんとうに、死ぬかと思った。
でも、死なずにすんだ。
天井の梁が落ちてきて即死したひと。
2階に押しつぶされて圧死したひと。
真っ暗な中、覚醒するまもなく、一瞬のうちに命を断たれた人々。
その魂は、なにが起こったか判らないまま、宙をさまよったことだろう。
瓦礫のなかで意識がありながら力尽きたひと。
迫ってくる火に焼かれるのをわかって逃げられなかったひと。
そんな魂は、持って行き場のない無念と、残した人たちへの念をはらんだまま、
宙に浮いたことだろう。
15年たって、街は整然とたたずむ。
大規模な区画整理がされたから。
あのときさまよった魂たちは、それぞれに整理がついたのだろうか。
とても区画整理のようにはいかないだろう。
先週、地球の裏側の極貧の島で、おりしも発生した巨大地震。
同じような規模の地震でも、環境が悪すぎる。
地震は、なぜあのような場所を選んだのだろう。
島の上空には、何十万の魂が行き場なくさまよっているだろう。
残った人間も、これまでの内戦や政治暴動ではなく、
単純に「生きる」という基本的な戦いに挑まれている。
積極的になにもできないけれど。。。。
ささやかでも、現実的にちからになれることを探そう。
そして、祈ること。