テニスの試合で、サーブのトスが微妙に風に流れたなと思いながらも打ってしまうことがある。
ゴルフ場のティグラウンドで、アドレスがなんかしっくりこないと思いながらもスイングに入ってしまうことがある。
その結果、どうなるか。
その一瞬を境に、ガラガラと何かが崩れ始めたり、大きな負の流れに乗ってしまったり。
大汗かいて走り回るはめになったり。
かすかに感じた違和感。
それを敢えて無視して進んでしまったために、大きなトラブルに巻き込まれることがある。
いや、巻き込まれるのではなく、呼び寄せてしまうのだ。
違和感と同時に、フラッシュのように、映像が浮かぶ瞬間がある。
たとえば、ウォータースライダーで落ちていく絵とか、線路で立ち往生している絵とか。
まさか、と打ち消す。
そんな神経質になるなんて。
映像をふりはらって、いいほうに考えを転換する。
何日かしてから、その「まさか」が現実となることがある。
あー、あのときの違和感を、もっと重要視していたら。
あの映像をもっと深刻に受け止めていたら。
じぶんのなかに、警告のシグナルがともっていたのだ。
それなのに、見ないふりしていたのだ。
かくして、トラブルとなった仕事に、遅くまでどっぷり浸かって、もがく羽目に。