「きもちのわるいところはございませんか?」
美容院のシャンプー台で聞かれる.
・・・えら有りです。
せっかく恍惚となっていたのに、もうやめるわけ?
耳のうしろのところも、あたまのてっぺんあたりも、もっともっと掻いてほしい!
今やめられたら、あっちもこっちも、きもちわるい。
でも意思に反して「大丈夫です」と答えてしまう。
なんでか?
もうちょっと追加してもらっても、満足することはありえない。
こっちを掻いたら、あっちを掻いてほしくなる。
あっちを掻いたら、こっちを掻いてほしくなる。
マッサージを、永遠に続けてもらなくてはいけなくなる。
でも。
人生に、永遠はない。
どこかで、くぎりをつけねばならない。
だから、シャンプー台のうえでわたしはきっぱり言う。
「大丈夫です」