NYエッセイの途中だが、突然の訃報に、動きが止まってしまった。
早すぎる、コーナーポケットのマスターの死。
なんの予告もなしに、みんなをおいて突然何すんねんっ!冗談にもほどがあるやろっ!て感じです。
若いときのキイチを知ってます。
すらっと背が高くて、スリムで、ハンサムで、あこがれる女の子がひけもきらず。。。。
○○年ほどして再会したときは、「・・・・・・」
ジャズを通じてまた、親交が深まりました。
ライブのあと、ほめられたこと、ない。
関西でいう「ヘンコ」なおやじ。
超辛口人間。
でもみんなが慕う。
なんでかというと、暖かいから。
いい「おと」をひたすら追求してやまなかった。
パラゴン、今が最高のコンディションや!と嬉しそうに言っていたそう。
その最高のおとの中に連れて行って、今日から明日にかけてみなで追悼します。
・・・・・・みんな、途方にくれてます。どうしてくれるん?キイチ!!
去年のカウントダウンジャムセッションに参加したときのブログ、ここに再掲載させていただきます。どれだけ愛にあふれた人だったか、知ってもらいたくて。。。。
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話はさかのぼるが大晦日。
恒例の加西のリゾートホテルでのライブの後、カウントダウンライブに行った。
今年は西宮北口の老舗ジャズ喫茶、コーナーポケット。
着いてみると、小さな店だから仕方がないが、廊下まで人があふれている。
みごとに若者ばっかり。寒い廊下でみんな楽しげに談笑している。
「高齢者は優先的に席を確保する」というマスターの采配で、なんとか椅子に座らせてもらう。
なにしろ学生さんや若い人が多いので、高齢者というのは、あくまでも比較の問題だ。
ちなみにマスターはもっと(もうすこし)高齢者やし。
前ではホーンが3~4人、ピアノにベースにギターにドラム。演奏側もすごい人口密度で、文字通り所狭しと熱演中だ。
座席側ではほぼ全員が、楽器をもってまだかまだかと待機状態。
1曲終ると、交替だ。
「まだ演奏していないひとー」といわれて急いで立つ人もいれば、指名されて立つ人もいる。
おわった人は、「もっとやりたいオーラ」を発散させながら戻ってくる。
演奏者のすくない楽器の人や、すこしだけほかの人より押しの強い人は、引き続きポジションを死守する。
楽器を始めて間もないとみられる、まだおさない顔の女の子や、受験勉強のかたわらジャズに熱中しているに違いないにきび面の男の子、そのなかに巨匠とよばれるベテランピアニストが入ったり、あちこちで活躍中のベーシストが入ったり、プロ、アマ、老若男女、ごちゃ混ぜの、まさにジャムセッションだ。
失敗したって、「ハハハ、おもしろいエンディングやったな~」とみんなが拍手で応じる。
全員、ひたすら暖かい。
年が変わる10分まえぐらいから、この店ではお決まり(らしい)の「チェロキー」が演奏される。みんなのテンションがどんどん高まる。
日付が変わると同時に、チェロキーに旋律がよく似た「と~しのは~じめ~の」が1コーラス挿入される。(ちなみにこの曲のタイトルは1月1日。知ってた?)
演奏がおわると、みんなで新年の乾杯をして、マスターが挨拶した。
「また来年もこの店でこうやって正月迎えられたらええな~」もう来年の心配かいな。
大丈夫。
こんなに若いエネルギーが集結する、こんなに体温の高い場所。
実際、この店からたくさんの、なかには世界的に活躍するミュージシャンも出ている。
みんな最初は、幼いにきび面して、この場所の小さな椅子でセッションの順番を待っていたのだろう。
セッションでは、高齢者(そこでは)ながら、私もボーカルで参加させてもらった。
なんだか、愛にあふれた場所で、エネルギーをもらって、いつにもまして力強い年越しができた気がする。
まけちゃ、いられない。