思えば、NYでの生活があまりにもエキサイティングだったため、帰国後の生活をちゃんと営むには、NYの思い出を箱に入れ、シールして目に見えないところにしまうしかなかった。
それから25年。
飛行機がクィーンズの土に着地したとたん、その箱が勝手に開いて、中身があふれ出してきた。
乾いても湿気てもいない、みずみずしいままの生のきもちが押しよせて、不意に涙がぼろぼろこぼれた。
「よう帰ってきたねーー、おかえり!!」
窓から見える大地や川や木々や家たち。
あたたかく、なつかしい大きな何かにすっぽり包まれた。
こんなに好きやったんや、この場所。
かくして、歩いているだけで、いや、空気を吸ってるだけで心が躍る8日間がはじまった。
とおもったら、すぐに終わった。
短かすぎ!