フィギュアスケートの競技をみるのはあまり好きじゃない。
○○選手権とか、オリンピックとか。
こけたらどうしょー、と思って、人ごとなのに、みる方も要らんドキドキを感じてしまう。
滑っている姿があまりにも美しいだけに、転倒したときがみるに耐えず、ギャップが大きすぎて気の毒になってしまう。
テレビみて、こっちまでストレスもらうことはないから、チャンネルを変える。
うまくいった演技をあとでVTRで見るのは、まあいい。
安心してみられるから。
それでも、ジャンプを飛ぶ前の緊張や、うまく着地したあとの安堵が、ピリピリと伝わってくる。
競技スケートはもう沢山、とプロのショースケーターに転向した荒川静香。
高得点をかせぐためではなく、自分の好きな形で滑りを表現したいという彼女の演技は、プレッシャーから解き放たれ、伸びやかで美しかった。
肉体そのものが、ひとつの芸術作品のようだった。
そう、フィギアスケートは、ショウなのだ。
優雅でなければならない。
そしてなによりも、本人が楽しんで舞っていなければ。
音楽も同じだ。
本人がピリピリ、ドキドキしてパフォーマンスしていたら、聴いているひとまでストレスを感じる。楽しめないし、癒されない。
ほんとうは、点数も技術も関係ない。
表現したいものを、楽しみながら自分のスタイルで伝える。
これが思うとおりにできれば、まさにイナバウアーものだろう。
ただし、ひとつ、気をつけよう。
ハイヒール。マイクの線。モニターやアンプ。
氷の上ではまだゆるしてもらえるが、ステージでは決して転倒しないように!
(ぶち壊しですからね)