スプレッドチーズの瓶を見るたびに、胸がすこしズキっとする。
3歳のころの朝。
そのころまだめずらしいスプレッドチーズ(多分米国留学から帰ったばかりの父のお土産だったような・・・)の瓶の蓋が固くてあかなかったので、母が「あいこ、パパにあけてもらって」とたのんだ(と思う)。
わたしは、2階でまだ寝ている父のところにあがっていって、「おきて!おきて!」とゆさぶったり叫んだりした(と思う)が、一向に起きない。
そこで、何をおもったか、持っていたチーズの瓶で父のおでこを一撃した。
ゴン!と鈍い音がした(と思う)。
父が「ぎゃ!」と叫んだか、「痛!」と言ったか、さだかでないが、たちまち餅を焼いたときのように父のおでこがみるみるふくれて、すごいコブができた。
母があがってきて、「きゃ!」と言ったか、「ぷっ!」と吹き出したかはさだかでないが、大騒ぎの朝になった。
なんで殴ったのか、そこは3歳児の浅はかさか、追い詰められた末の手段だったのか?
自分ながらよくわからない。
でも、ごん!という感触はおぼえている。
いまでも父のおでこにそのときのコブのあとがある。
ごめんね。